「♪♪もう幾つ寝るとお正月、お正月にはタコ挙げてコマを回して遊びましょう、早くこいこいお正月♪♪」
滝廉太郎の作曲した童謡のように、お正月にはコマを回して遊んだものです。
このコマ回しには三つの状態があるといいます。横になって止まっている“静”の状態。ビュンビュンと勢いよく
飛び回っている“動”の状態。それに日本語で“瀞(とろ)む”と表現している状態。すなわち遠くから見ると一か所に 止まっていて動いていないように見えるが、ごく近くで見ると自転して動いていることがわかる状態の三つです。
この三つめの「瀞む」の状態、英語では「Spinning−still」と言うそうですが、それが仏教で言う
ところの「空」であり、また数学においてはゼロに当たると思われます。
埼玉県に在る長瀞(ながとろ)は川の水が「瀞む」ような状態に見えるので、そのような名が付いています。この「瀞む」
という動詞形は静の字が入っているのに、さんずいの水の動きがあるというのですから、いかにもよく表現できている漢字ですね。
また、コマのとろむ状態のこと、すなわち「独楽が回転して不動に見える状態」を指して「澄んだ」とも呼んでいたようで、「コマを澄ますのに手間取った」などと昔の子どもたちは言っていたそうです。
コマがすました顔をしている状態が「澄(す)んだ」=「瀞(とろ)んだ」でもあるのです。
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