“日本文化の特徴は余白にあり”これが結論です。では、どうしてそう言えるのかを様々な分野で検証してみましょう。

1)日本語の特徴としての余白とは何か?

 日本語を英語に翻訳するときに一番苦労する点は主語の省略です。日本語は周辺の文脈から自ずと明らかな場合に、主語が省略されやすいという特徴を持っています。前後の関係から余白を読んで欲しいという訳です。

 省略という意味では、もう一つ日本的思考の特徴が挙げられます。それは「目的とねらい」が何であるかということを前提にして考える習慣が乏しい点です。そもそも目的とねらいが空白にされているので曖昧さが残り、拡大解釈や玉虫色の解釈が可能となりがちです。ツーと言えばカーと伝わる同じ風土の中にいる同士ならば良いのですが、そうでない場合は「不思議な国だなー日本は」となってしまうのです。

2)日本建築の特徴としての余白とは何か?

 日本の一戸建て住宅や和室のある旅館・ホテルの日本間には「床の間」が付いています。この床の間に相当するものを世界の住宅建築に見い出すことは多分できないでしょう。

 室町時代に完成した「書院造り」による木造住宅は畳と障子とふすまという材料のほかに、床の間、違い棚、欄間などの様式を今に伝えていますが、「床の間」は日本の住宅建築に特有なゆとり空間といえましょう。

 つづき(日本文化の特徴は何か?2)