“Don't order them captain, ask them.”
これは、映画「K19」の中で登場する重要なフレーズです。この映画は1960年代にソ連の原子力潜水艦で実際に起きた放射能漏れ事故を扱ったもので、ハリソン・フォードが主演して2002年12月に公開されました。
  ミサイル発射実験に成功した後に、放射能漏れを起こして絶望的な危機に陥ったシーンで、艦内マイクを握り締めたハリソン演じる艦長に対して、人望の厚い副艦長がこの一言を使ってアドバイスするのです。
 「命令しないで、質問しなさい

 それまで厳しく命令だけを発していた艦長が、そこで、初めて心の底から発言して、部下の意見を率直に問うことになります。そして、今までギクシャクしていた隊員の全員が、今度は総意を集めることが可能となり、危機を脱出するというストーリーです。

 わたしは、これ程に流れを変えることの出来た言葉について関心を抱かざるを得ませんでした。命令や指令といった一方通行のコミュニケーションスタイルから、相手に事情を説明し、意見を求める双方向のコミュニケーションスタイルに移行することで、起死回生の問題解決がなされることを目の当たりにしたからです。

 命令(order,command)の反対にaskが使用されていますが、Askには「質問する、依頼する、求める」の意味があります。「求めよ、さらば与えられん」の聖書の有名なことばにAskが出てきますが、よくよく考えるとAskは罪の赦しを神に「求める」ことに帰着し、そこには感情が込められるのです。
 このように考えると、主演のハリソン演じる原子力潜水艦の艦長がAskすると言うことは、、、そうです。核兵器という人類が生んでしまった最大の罪に対して、その赦(ゆる)しを求めているのだとも解釈できるのです。まあ、これは少し私の考え過ぎかもしれませんが、「K19」はそれほどに重厚な意味を持つ映画であると思います。
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