4-6.源氏物語

◇世界に誇ることのできる日本文学を一つだけ紹介するとすれば、誰もが紫式部の「源氏物語」をあげると思います。ボリューム、その古さ、女流文学であること、平安時代の宮廷貴族を舞台にしていること、平仮名を使用していること、登場人物の多さ、またそれを研究している国内外の学者の多さということにおいても抜群です。

◇その中で囲碁の出て来る場面を「源氏物語絵巻」竹河(二)で見ながら、原本と現代語訳と英訳との三者で対比してみましょう。

原本:「昔より争ひたまふ桜を賭け物にて『三番に数一つ勝ちたまはむ方に花を寄せてん』と戯れかはしきこえたまふ。暗うなれば端近うて打ちはてたまふ。」
現代語訳:「昔から争いの種になっていた桜を賭けて『三番勝負で、勝ち越したほうに、この花を譲りましょう』と冗談をおっしゃり合う。暗くなったので端近な明るい所に出て、勝負をおつづけになる。」(円地文子訳)
英訳: 「It was to be the best out of three, and the winner.they laughingly decided, should have the cherry-tree for her-own. As it was getting dark they moved the board as close as possible to the window.」(アーサー・ウェーリー訳)

◇日本の古典をインターネットで海外へ紹介して行く際には、パソコンの和英翻訳ソフトが威力を発揮することでしょう。 多くの古典が英語を介して各外国語へ格調の高い文章として翻訳されることを期待します。その為にはまず古典の原本を英文に翻訳しやすい現代日本語文に変換する作業を強力に推し進める必要があると思います。
☆次へ(第5章)