12-2.日本の役割

◇日本の役割を世界の中で考えるとき、参考になるのがアルビントフラーの「パワーシフト」です。彼は現代の世界を動かしているのは軍事力・経済力・情報力の三つの力であると分析しています。

◇軍事力と経済力についてはここでは触れません。
情報力は種々の要素があります。商社に代表される国際的情報ネットワークの存在、情報を発信・経由・受信するための高度な情報通信システム、携帯電話・テレビ・ファックス・ビデオ・パソコンなどの普及、その他高度情報通信社会に関するもの、最近ではISDNや光ファイバーによる情報スーパーハイウェーやインターネットの発達、さらには教育水準の高さ、流行やファッションの発信力、影響力のある通信社・新聞社・放送局の存在などがその要素です。勿論CIAなどの情報戦略も含みます。

◇しかし、パワーシフトの真実の姿は実のところ“コンピュータシフト”なのです。軍事力・経済力・情報力これら全てはコンピュータの発達が裏付けとなっていることを忘れてはなりません。 そして、情報技術すなわち「IT」(インフォメーション・テクノロジー)がハードもソフトも含めて非常に大切になって来るのです。資源の少ない日本はもっともっとITに力を入れるべきでしょう。
◇日本は南北問題にもっと積極的な貢献ができるはずです。明治維新の開国以来、短期間に南(発展途上国)から北(先進国)のグループに仲間入りできたという貴重な経験は、南の国々にとっても参考となり、事実「日本を見習おう」ということで、発展途上国の目標になっているのは嬉しいことです。

◇人種問題についても、日本人は黄色人種という中間的な位置を占めており、白人・黒人のどちら側にも理解を得やすい立場にあります。また西欧諸国の植民地にされることなく、西洋近代科学を取り入れて成功した極東の島国として、東西の融合についてはさまざまなノウハウを持っています。

◇日本はマルクス主義の洗礼も大正デモクラシー以来受けており、アメリカのようにその影響が非常に少ないか、極端に排除されていた状況ではありません。イデオロギーに関しても異質なもの同士の混在を認め合っています。

◇21世紀を迎えて、世界は「対立から融合への時代」へと向かうといわれています。聖徳太子の時代から「和を以って貴しと為す」ことを大切にしてきた日本人なのですから、きっと“和の哲学”すなわち“融合の哲学”でもって、この“宇宙船地球号”をうまくリードして行くのではないでしょうか。

◇地球温暖化や地球規模での環境破壊が進んでいますが、日本は公害問題を解決してきた苦い教訓を活かして、環境問題の解決でも世界に貢献すべきです。
◇ポスト冷戦時代の世界の枠組みと、21世紀の日本の役割を展望する時、このような座標軸を持って対処し、多方面において、もっともっと創造力を発揮しなければならないと思います

  (完)

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