11-3.ニーズからウォントヘ

『必要は発明の母である』とはエジソンが残した有名な言葉ですが、これについて数学者でフィールズ賞受賞者の元山口大学学長の広中平祐先生は「学問の発見」(佼成出版社)の中で次のように述べています。

『何か必要があって発明あるいは創造が生まれるという意味だが、問題はこの「必要」という言葉の解釈である。「必要」は英語で主に二通りの表現の仕方がある。ニーズとウォントである。「ニーズ」という言葉は、空間的に言えば、外部の状況を判断して割り出した必要性であり、時間的に見ると、過去から現在にかけて人間が経験したこと、得たものを基準にして割り出した必要性という意味に使われる。
 これに対して「ウォント」は、自分の内部から出てくる必要性であり、現在と未来に時間軸をとった上での必要性を意味している。すなわち欲望とか、欠乏を内包した「必要」がウォントの意味なのだ。(中略)・・私は、創造にはもちろんニーズもなければならないが、どこかの時点でウォントが生まれないとダメだと思うのである。つまり、創造活動を支える背景には、「こんなものが創れたらいいな」と無心に思う欲望の念や、欠乏しているものをひたすら求める渇望の念がなければならないと思うのだ。

◇つまり「必要(Necessity)」はNeed(需要)とWant(欲求)の両方を含んでいて、この両方が相まって新しい発明・発見・創造が生まれるというのです。
◇私は更に、Needは男性原理の金剛界曼荼羅に、Wantは女性原理の胎蔵曼荼羅に関連づけています。そして、この二つが統合化・融合化されるところに本当の創造が生まれて来るのではないかと考えています。
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