10-7.「記号と文明」論の総括

◇このように「ゼロの発見」を手掛かりにして、マイナス符号・プラス符号・絶対値記号などについて、文明史論的なアプローチを試みる過程で、今までの5W1HにWhich・Whose・Whomの三つを加えた「9W」で考察すると、より深く本質に迫って行くことができるという体験をしました。

◇これらの例では「それまでのテーゼ(正論)=Whomに対して、Which側がアンチテーゼ(反論)を唱えるところから大きな摩擦が生じ、両者の間に論争・戦争・革命等が巻き上がり、そうした社会的葛藤という背景の中で純粋数学の世界に産み落とされるべき思想がアウフへーベン(止揚)されて行った」と理解されるのです。

◇さらにまたルーツとしての「Who」と、その人の考えを、時代を越えて再興・実行しようとした人物「Whose」との関係も鮮やかに見て取ることができました。
◇そして、少し付け加えるならば、著者と同じくこれまで数学嫌いだった方々も、数学の本当の面白さを若干見い出せたのではないでしょうか。数学も抽象的な無味乾燥なものではないのですから。
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